電力使用量NOW

2011年5月30日月曜日

放射能と風評被害9

本当に、こういうのやめてもらえないかなぁ…。

----------------------------以下引用。

「白煙上がった」「半径300キロ内壊滅」  「もんじゅ」巡るデマ騒動相次ぐ

J-CASTニュース 5月29日(日)18時42分配信
「白煙上がった」「半径300キロ内壊滅」  「もんじゅ」巡るデマ騒動相次ぐ
拡大写真
ウェブサイトで公開されている「もんじゅ」のパノラマ写真
福島第1原子力発電所の事故に終息のメドが立たないなか、今度は高速増殖原型炉「もんじゅ」への懸念が高まっている。過去に何度もトラブルを起こし、今は原子炉容器内に機器が落下したまま運転がストップした状態だ。


そのせいか最近、もんじゅに関してネット上で騒ぎが相次いだ。出所不明の資料に基づいた「デマ」も広がった。


■煙の正体は蒸気「放射性物質含んでいない」


「もんじゅから白い煙が上がっている」との情報がツイッター上に出始めたのは、2011年5月28日午前。もんじゅを運営している日本原子力研究開発機構(原子力機構)では、ウェブサイト上で15分おきにもんじゅの外観のパノラマ画像を更新、公開しているが、それを閲覧した人が「異変」を発見したのだ。


ネット掲示板には、更新されたパノラマ画像が張り付けられたが、午後になっても白煙が出続けていた様子が分かる。ツイッターでは「いよいよやばいの?」「絶対に起きてはならない事が起きているのかもしれない」と、事態を恐れる投稿が書き込まれ、中には「拡散をお願いします」と情報を広めようとするユーザーまで現れた。


結局この白煙は、トラブルではなかった。原子力機構は煙について「ボイラーから放出されている蒸気で、放射性物質を含んでいない」と説明。サイト上でも「異常ではありません」と呼びかけた。


もんじゅは1995年、ナトリウム漏れによる火災が発生し、運転を停止。2010年5月に運転を再開したが、同8月には核燃料の交換の際、原子炉容器内に機器が落下する事故が起きていまだに引き上げられないでいる。不始末続きのうえ、福島第1原発の事故で誰もが神経質になっているときに起きた「白煙騒ぎ」に、大勢の人がつい飛びついてしまった格好だ。


■出所不明の「もんじゅ被害想定マップ」


しかし、その数日前に起きた騒動は少々悪質だ。5月23~24日にかけて、ネット掲示板に「もんじゅ被害想定エリア」なる画像が出回ったのだ。ネットの地図サービスを利用したと見られる画像は、日本地図の上に、もんじゅのある福井県敦賀市に目印が打たれ、そこを中心に半径300キロ圏内を示す赤い円と、半径600キロ圏内を示す青い円が描かれている。


地図の左下には、半径300キロ圏内は「壊滅的被害」として、「24時間以内死亡/即死」と刺激的な表現が踊る。この円内には大阪や名古屋、紀伊半島全域や四国東部、伊豆半島の東側まで含まれている。また、東京や福岡は半径600キロ圏内となり、ここも「72時間以内死亡率50%」と書かれている。


画像がネットに出回るにつれ、「どこにも逃げられない」「諦めるときは諦めなければいけないのか」と嘆く投稿がツイッターに寄せられた。一方で、「このマップのソースが分からない」と冷静に考える人も少なくなかった。実際に画像の出所は不明で、画像を見る限りでは「想定エリア」も被害の内容も根拠が一切示されていない。その後、元画像自体が削除されてしまった。


もんじゅに対して人々が抱える不安が、「デマ」によって増幅されてしまったようだ。

----------------------------引用以上。

正しい知識を持たない人間が、憶測と偏見だけで物事を語ると碌な結果にならない証明。当事者は「自分なりに」マズイと思ったからツイートしただけなんだろうけども、第三者には果たしてそいつが専門家なのか、ただの騒ぎたがりなのかは分からない。その辺の情報が渾然一体となって流れてくるから混乱する。

ネットって、正しい知識を持つことが絶対的な条件なんだなぁって、ここのところ痛感する。

蒸気を利用する発電所において必要なもの。水と燃料とタービン。燃料で水を温める。そして何100℃という水蒸気にする。大きな運動エネルギーを持った水蒸気をタービンにぶち当てる。ただそれだけのことだ。燃料の違いで3つの方式に分類できる。「火力発電」「原子力発電」「地熱発電」の3つ。地熱発電は燃料とは言わないかも知れないが、簡単に言えば高温のマグマ溜まりに管を差し込み水を吹き込んで、その返り水(水蒸気)をタービンにぶち当てる。マグマが水を温める燃料といえなくもない。

つまり、発電所内部は水蒸気だらけなわけだ。煙突だって何本もある。ただ煙が上がったからと言って心配するのは…まあ、時期が時期だけに過敏になる気持ちは分からんでも無いけれども。

で、そのハザードマップの半径300kmの根拠は?自分で調べたの?調べもしないで、他人の作った何らかの代物を「ソース」などと鬼の首を取ったかのごとく論うようなことはやめて欲しいんだけどなぁ。それこそ風評被害なんだけど。

論文を書くときは、参考文献ということで他人のデータや結論を引用したり参照する。ただし、学会誌に掲載されたような「出典が明らかで、信頼性のある」ものである必要があるだろう。第三者の目にも明らかな、信頼のあるデータだからこそ引用する価値もあるわけで、その結論を用いて自身のデータの信憑性を高めることができる。

残念ながら、ネット上の情報はその辺りが玉石混淆である。引用するにはそれなりの知識が必要となる。某巨大掲示板の情報が全て嘘だとは思わないが、鵜呑みにするのは危険であろう。そのような場で「これがソースなんだって!」と言い張る本人は実際に調べた上で語っているのかも知れないが、そうでない者もいる。玉を隠すなら玉の中。玉石混淆とはよく言ったものだ。

どうか、自分で調べて正しい知識を持った上でネットを利用していただきたい。でなければ、こんな危険なツールも他にないのでは?

以上。

2011年5月26日木曜日

ああ勘違い

おもしろいTweetを見つけた。

「蒸気よりも水流の方が力強いに決まってるのに、わざわざお湯沸かして発電するのは電力会社の陰謀」というツイートを読んで、日本における産業革命の訪れはまだまだ先であることを思い知る。

いや…気持ちは分からないでもないし、特定の場合においては、水流のエネルギーが蒸気のエネルギーを上回ることもある。だから、言っていることは確かに間違っちゃいないんだけども。

でも、この考え方には「質量」というパラメータが抜けている。

物体の運動エネルギーは次式で表される。

E=1/2(mv^2) [J]

つまり、ある物体の速度の2乗と質量を掛け合わせたものを2で割ると、それはエネルギーになるのである。

エネルギーというのはおもしろいもので、いろいろな表し方がある。物体を高いところに持ち上げて離したとする。ちょうど、上のTweetで言う「水流」のようにね。高いところにある物体は、重力の影響を受けて低いところへ移動しようとする。移動の過程で速度が発生する。その速度と、自身の持つ質量によって、何かしらの「仕事」をする。このとき、高いところに存在する物質は「仕事をする潜在的なエネルギーを秘めている」ことになる。このエネルギーを「位置エネルギー」または「ポテンシャルエネルギー」と言う。位置エネルギーは次式で表される。

E=mgh [J]

質量と重力加速度、そして高さを掛け合わせたものが位置エネルギーになる。

一方、蒸気のエネルギーは「熱力学」という独立した分野で論じられる。熱力学は非常に難解であるため、今ここでは「熱=エネルギー」という乱暴な条件を付加する。

500度の水の持つ運動エネルギーを考えてみる。ここで「水って100度までしか温度上昇しないんじゃないの?」と思った方、それは半分正解で半分誤りである。水という「液体」に関して言えば、確かに100℃までしか上昇しないであろう。しかし、水という「分子」に関して言えば、必ずしもそうではない。100℃を超えると、水は「水蒸気」という気体へと変体する。また、500℃どころか1000℃、2000℃と上昇していくと、ついには水分子そのものがバラバラ(H2O → 2H + O)になってしまう。そして、さらに温度を上げていったとき、水分子(というかもう別物)は「プラズマ」となるのである。

気体分子の平均運動エネルギーは、ボルツマン定数を用いて、

E=3/2k・T [J]

ここで、kはボルツマン定数(=1.38 x 10E-23[J/K])、Tは絶対温度である。

例として、500℃の水が持つエネルギーは、

E=3/2・1.38・773 x 10E-23
=1600 x 10E-23
=1.60 x 10E-20[J]

ものすごく小さく見えるかも知れないが、これは「水分子1つ」のエネルギーであって、実際にはもっとたくさんの水分子が存在している。1モルあたりに換算すると、水分子の質量数は

H(=1)x 2 + O(=16)=18

であるから、水分子1モルあたりの質量は約18gである。1モルの気体分子数はアボガドロ数(6.02 x 10E23)であるから、500℃・18gの水蒸気の持つ運動エネルギーの平均は、

E=1.60 x 6.02 x 10E-20 x 10E23
=9.632 x 10E3 [J]
=9632 [J]

これだけでは大きいエネルギーなのか小さいエネルギーなのかがサッパリ分からないので、水力発電と対比させて考えてみよう。水の位置エネルギーによって発電する水力発電の場合を考えると、18gの水が9632Jのエネルギーを持つには、どのくらいの高さから落とせばいいのか?ここで風の抵抗は無視することにすると、mの単位は[kg]であるから、18g=0.018kg。gは重力加速度であるから、9.8を代入する。

E=0.018*9.8*h=9632
0.1764h=9632
h=54603.17[m]

この解は何を意味するのか…。水12gが9632Jのエネルギーを持つためには、地球の上空54kmの高さから自由落下させてやらなければいけないのだ。それだけ、水蒸気のエネルギーというものは莫大なのである。

ただ、ここでは水を常温から500℃まで暖めるエネルギーは考慮していない。水1gを1℃暖めるエネルギーを1cal(=4.2J)とするならば、水18gを常温(=300K)から500℃(=773K)まで上昇させるためのエネルギーは、

E=18 x (773 - 300) x 4.2
=35758.8[J]

この分を考慮すると、18g・500℃の水蒸気が持つ平均運動エネルギーは、

E=9632-35758.8
=-26126.8[J]

まあ、マイナスになるわな。

…とまあ、ここまでつらつらと書いてみたが、実際の現象としては「効率」というものを考えなければいけない。熱が水に全て伝わるのか?全ての水蒸気がタービンに当たるのか?自由落下の際の空気抵抗は?考え始めるとキリがないが、要するに必ずしも理論通りになるわけではないということだ。

ここまで見て、どちらが高効率か?という議論はしない。見た人が判断すればいい話だ。ただ、何故「蒸気機関」というものが発明され、産業革命が起こり、世界の工業が発達してきたか?を考えれば、水蒸気の力が偉大なものであると言うことに異論はないであろう。

ああ、久しぶりに物理学の教科書を引っ張り出してみた。

以上。

2011年5月24日火曜日

業務連絡2

http://maps.google.co.jp/maps?f=d&source=s_d&saddr=%E9%B7%B2%E5%88%A5%E9%A7%85%E5%89%8D%E9%80%9A%E3%82%8A%2F%E9%81%93%E9%81%93107%E5%8F%B7%E7%B7%9A&daddr=42.35965,140.97888+to:42.76689,140.80219+to:%E9%81%93%E9%81%93478%E5%8F%B7%E7%B7%9A+to:42.6255799,141.0251933+to:%E9%B7%B2%E5%88%A5%E9%A7%85%E5%89%8D%E9%80%9A%E3%82%8A%2F%E9%81%93%E9%81%93107%E5%8F%B7%E7%B7%9A&geocode=FamdhgIdrgRoCA%3BFWJbhgIdwCpnCClh-N9AS9qfXzEHO49YLUKVIw%3BFSqSjAIdjnhkCCn_fsZWaK0KXzHQFxTbZWyq8A%3BFWz6jQIdc4dlCA%3BFStqigIdqd9nCClPU4eh2Fp1XzGItpdKObblrQ%3BFfydhgId_gRoCA&hl=ja&mra=ls&via=1,2,4&dirflg=dh&sll=42.663251,140.997162&sspn=0.539762,0.930405&brcurrent=3,0x5f9f59209f6c888b:0x1c3cc3564fce038f,0&ie=UTF8&ll=42.376807,141.034927&spn=0.544271,0.930405&z=11

2011年5月23日月曜日

サンライズ計画(笑)

またしてもやってくれました!さすが首相!フランスのサミットでやってくれるそうですよ!何でも「2030年までに太陽光パネルのコストを1/6にする」んだそうです!すばらしいことです!

以下マジレス。

太陽光パネルという代物、簡単に製造コストが下がるようなものではないんです。知って言ってるのか、口から出任せなのか?サッパリ分かりません。

太陽光パネルの原料は「シリコン」と呼ばれる元素。日本語で言えば「ケイ素」である。半導体材料として重要なポジションを占めている。その埋蔵量は極めて豊富で、地殻には大量に存在する、ごくありふれた材料である。この時点で原材料の調達コストを削減することはできない。

このシリコンを基板の上に堆積させるのだが、その方法は様々である。いずれにせよ、ケイ素そのままの状態では簡単に堆積させることができないため、ケイ素を含むガス状の材料を用いて、高温の状態で堆積させることとなる。

このときに問題になるのが、その堆積させるための装置。一度に製造できるパネルの量を増やすには、製造装置そのものの大きさをデカくしてやらなければならない。半導体材料は、不純物を可能な限り排除するために、大気圧の何100万分の1という真空を作りだし、その中に材料を導入し、何100度、場合によっては1000何百度という温度をかけ、製造している。そのためには高性能のポンプが必要になる。しかしながら、どんなに高性能のポンプであろうと、一瞬でそのような高真空になるわけではない。装置が大きくなればなるほど尚更である。また、装置が大きくなればなるほど、材料の分解や温度の印可に、ポンプを回すのに必要な電力も増加する。太陽光パネル製造の過程で、恐らく一番お金がかかるプロセスがここであろう。単価を下げるには大量生産が必要であるが、そのための装置を開発するには途方もない開発費が必要になる。決して、材料が安くなったからと言ってデバイスそのものの単価が安くなるわけではないのだ。製造装置全体で眺めて、既存のものでは不可能であれば、その機器の開発も必要となる。半導体デバイスは「小型・軽量」を目標に進化したデバイスであるため、太陽光パネルのようないわば「大面積、大容量」は、その逆を行くデバイスである。そのようなデバイスの単価を下げることは容易ではないと思われる。

技術開発は政治的な影響を受けてはならない。私の信念であるが、最近の日本はそれにしてもひどすぎる。トップが言いたい放題で、その後の責任は技術者。これじゃ、いくらたっても理系人間の地位向上は見込めない。理系文系と2分化することは悪いことだとは思わない。だからといって、お互いの理解がまるで進んでいないじゃないか?特に政治家たちの技術に対する無知ぶりは目を覆いたくなる現状が日本には存在する。

腹立たしいことこの上なし。

以上。

2011年5月18日水曜日

台湾狂詩曲

ずーっと探していた曲を、YouTubeで見つけてしまった。

「吹奏楽のための台湾狂詩曲(Rhapsodia Formosa for Band)」
作曲:伊藤康英
演奏:台南一中校友管樂團(Tainan Alumni Band)


作曲は日本人で、伊藤康英(いとうやすひで)さん。何でも、台湾との文化交流の一環としてこの曲を作曲したらしい。演奏しているのは、調べてみるとどうやら台湾の吹奏楽団みたい。台南一中校友管樂團という、台湾でも結構有名なアマチュア吹奏楽団で、レコーディングや映像収録もたくさんこなしているっぽい。公式HPのトップページが面白い。そして公式HPの「活動遍歴(All Concerts)」を見ると「ジャパニーズグラフィティ」とか「Sakai Itaru(酒井格)」とか「Japanese Folk Song(日本民謡)」とか「久石譲」とか…日本発の曲をたくさん演奏してくれているのね。台湾の人たちは親日家がとっても多いって話をよく聞くけども、本当だったんだなぁ…としみじみ感じてしまう。

で、その演奏は…すばらしいの一言。久しぶりに吹奏楽で「スゲー!」と、素直に感じた。私自身が打楽器奏者だからか?こんな曲を演奏してみたい。特に、中間部のオーボエのソロがすばらし過ぎる。ヴィブラートに全く頼らない、牧歌的で伸びやかな音色。管弦楽では突飛なアプローチなのかも知れないけれど、こういった民族的主題の曲では却ってマッチする音色。

多分この曲、日本ではあんまり有名な曲ではないのかも知れないけど…実はこの曲、高校の吹奏楽部の片隅に置かれていたスコアとカセットテープから知った、言わば「偶然の出会い」があった曲で、Tuttiで入る主題の前のティンパニの「だんどんだんどん」がとても印象的で、中間部の打楽器アンサンブルもすばらしく、いつか演奏できれば…と思い、選曲のたびに何気なく忍ばせつつも、なかなか理解されずにお蔵入りになってしまった曲。吹奏楽を演奏する機会は、今となっては全然少なくなってしまったが、改めて聴いてみて「やっぱいい曲だなぁ」と思えてしまう。

そういえば、大震災の義援金…物事はお金だけで量れるものではないけれど、台湾からの義援金がものすごいことになっていると知って、台湾の方に足を向けて寝られないなぁ…なんて考えてみたり。まあ、台湾に足を向けてしまうと「北枕」になっちゃうんだけども。

語り尽くせないほどお世話になった台湾の民謡を題材にした、こんないい曲もあるんだよ…ってことで、全国の吹奏楽部なんかは、是非この曲を今年のコンクールで演奏してくれないかなぁ。感謝の気持ちを日本中から台湾へ!

レンタル譜で入手できるとか。
http://www.geocities.co.jp/MusicHall/7973/Rapsodia-Formosa-for-Band.htm

管弦楽編曲なんて存在したら、自費でも買っちゃうよ。

以上。

2011年5月17日火曜日

放射能と風評被害8

地元の友人からいろいろ尋ねられたので、久々に放射線などのことを書こうと思います。物理学的事実は入念に調べた上で書いていますが、福島原子力発電所についての考え方にはある程度主観が混じっているので、読まれるお方はそのあたりを理解した上で読んで下さい。

返信遅くなって申し訳ない。原子力工学の核心について、電気電子工学技術者の立場から説明します。かなり長いですが、しっかり飛ばさずに読んでください。

まず、原子炉の扱いについて。メルトダウンという現象は、原子炉の中核を担う核燃料の冷却不備のために、燃料自身が高温になり融点を超越したがゆえに溶け落ち、圧力容器の内部を突き破って格納容器以外に露出する状況を言います。普段、原子炉内部の核燃料は、中央制御室の命令伝達により反応する量をコントロールされます。このときに使用されるのが「制御棒」と呼ばれるもので、この制御棒が核燃料の周りを上下し、反応を押さえたり促進したりします。制御棒の性質については後述します。

核燃料の反応は、「中性子」と呼ばれるものによって引き起こされます。これが燃料にぶち当たると、核燃料に含まれるウランが分裂し、2つ以上の他の物質になるとともに、中性子と莫大なエネルギー、すなわち熱が放出されます。この反応を「核分裂反応」といい、原子力発電はこのエネルギーを利用して水をお湯に変え、タービンを回して発電しています。また原子炉において、水は反応して生成された熱を奪い、核燃料を冷却する役割を持つことから「冷却水」とも呼ばれ、また中性子の速度を弱めて核分裂反応を穏やかにする役割も持つことから「減速材」とも呼ばれます。

核分裂反応の過程で、エネルギーと中性子が放出されますが、この放出された中性子は、また次の核分裂反応に利用されます。これを「核分裂反応の連鎖」といい、放っておくとどんどん反応が進んでいって、手の付けられない状態になってしまいます。メルトダウンは、このような状態で起こるもので、反応が連鎖的に行われ過ぎたために、燃料が多量の熱を持って自分自身を溶かしてしまったために炉心溶融が起こったということです。ちなみに、燃料の熱と中性子の数がうまくバランスして、ちょうどいい具合になっている状態を「臨界」といい、これを越えると中性子を吸収する性質のある制御棒でコントロールして、燃料に当たる中性子の数を減らす必要があり、臨界より下回る状態ならば、反応を促進するために中性子の数を増やしてやる必要があります。原子炉を停止するには「中性子の数を可能な限り減らす」「延々と冷却する」という困難な絶対条件を達成しなければなりません。初期対応の遅れによって、それら重要なコントロールがなされなかった結果、今の福島第一原子力発電所があるわけです。

さて、浜岡原子力発電所の停止命令について、今回の政府の対応が正しかったのか?ということに対しては、大幅な自分の主観を織り混ぜて言わせていただけば、75対25で「正しくない」と思います。原子力発電所は「停めれば安全」というような類いのものではないからです。その理由は上に記した通り、内部の状態を適切に把握した上で、制御しコントロールしなければならないからです。停止状態といえども、内部の核燃料を取り出し、安全な場所へと移送し、核廃棄物として破棄するまでに何年もかかります。原子力発電所の完全な廃炉までには20~30年かかると言われています。原子力発電所の一番厄介な問題がこのことで、停めたからといって直ちに安全になるわけではありません。停止後の西日本のエネルギー問題から廃炉までを含めた、そこから先の具体的プロセスがどのようになっているのかが肝心なんです。とりあえず「停止した」ことは、安全への第一歩として評価に値することかもしれませんが、所詮は第一歩に過ぎず、それ以降の計画を示さない限り、ただのパフォーマンス、ただの思い付きと言われても仕方ないでしょう。

次に、放射性物質による健康被害についてです。まず覚えておいて欲しいのは「放射」「放射線」「放射能」「放射性物質」という4つの「放射」がつく言葉です。

放射とは、ある物質が何らかの電磁波や光(光も電磁波の一種です)を放つ現象のこと。

放射線とは、放たれた電磁波のうち、特に人体に対して多大な影響を及ぼす電磁波。α線、β線、γ線、エックス線など。

放射能とは、ある物質の持つ「放射」をする能力のこと。

放射性物質とは、そのような放射能を持った、すなわち放射してγ線などを放つ物質のこと。

「放射能を持った放射性物質が放射する放射線」と覚えてください。

以下、この4つの言葉の意味を覚えた上で読んでください。

人体に対する放射線の影響については、簡単に言えば放射性物質から熱い熱線が出てヤケドをする、と考えれば妥当だと思います。このように、放射線によってヤケドをすることを「被曝」と言います。「爆」ではなく「曝」です。漢字に注意。ただし、ヤカンを触ったりストーブに触ったりして受けるヤケドと異なるのは、そのヤケドが知らないうちに徐々に進行していくことです。人間の体の6割程度は水分で出来ていますが、残りの4割は有機物で出来ています。「有機物」とは、炭素が含まれた物質全般を指し、簡単に説明すれば「焼いたときに炭になる」もののことです。それ以外のもので構成されている物質を「無機物」と言います。無機物の多くは、酸素雰囲気中(要するに空気中)において酸素と化合する「酸化反応」によって燃焼、すなわち酸化しますが、酸素の少ないところで炭素と反応させれば元に戻ります(還元反応)。対して有機物は、一度加熱して変質したら二度と元には戻りません。ヤケドの傷がなかなか治らないのは、傷が元に戻るわけではなく
、新しい細胞がヤケドした部分を作り直すのに時間がかかるからです。

このように、放射線という高エネルギーの電磁波を受けることにより、人体に対して影響があることは明らかです。しかも、炎を飲み込んだりヤカンを熱いまま飲み込んだりすることはできませんが、放射性物質は目に見えないほど小さく、空気中に飛散しているものを無意識に吸い込んでしまうこともあります。その場合、体内でそのヤケドが進行し、臓器に何かしらの損傷を受けることになります。これを「体内被曝」といいます。具体的に体内被曝によって人体に対してどんな影響があるか?については、原子力が如何に恐ろしいものであるか…を一般の人に「片寄った視点で」「一方的に」植え付けるために、非常に簡単に説明してくれるサイトが山ほどありますので、そちらを参照してください。彼らの主義主張はともかく、健康被害についてのことはだいたい合っていますので。

最後は、放射能に関する単位について。これは、私のブログで細かく説明してあるので、そちらを見て欲しいと思いますが、念のため放射能に関する3つの単位を軽く挙げつらってみます。

「グレイ(Gy)」…放射線そのものの強さを表す単位。もちろん、大きければ大きいほど強い放射線であるということを表す。

「シーベルト(Sv)」…放射線によって起こりうる健康被害の目安を数値化したもの。大きければ大きいほど健康被害が大きい。

「ベクレル(Bq)」…放射性物質が、平均して一秒間に何回放射線を放射するか?という確率を表す単位。

3つの単位は似て非なるものです。また「ミリ」「マイクロ」などの「接頭語」も重要です。1メートルが1000ミリメートルであるように「ミリ」とは「1の1000分の1」を表す言葉です。「マイクロ」は「1ミリの1000分の1」すなわち「1の1000000分の1」を表します。ただ単に数字が大きければたくさんあるのか?というわけではなく、ミリやマイクロという言葉をしっかり理解した上で、正しく判断して欲しいと思います。

ここまでいろいろな用語が出てきました。一通り分かりやすく説明してきたつもりではありますが、原子力に関して一番大事なことは「正しい知識」です。闇雲に怖がったって、目の前で起こっている現象はどのような現象か?どのような意味があるのか?を理解して、正しい行動をとることができるか?の判断をするのは自分自身です。結果としてどうなるのか?は起きてみないと分かりません。それくらい、原子力というものは「確率」に左右されやすい現象の集まりです。

難しい言葉をたくさん使ったのは、この言葉の意味が分からないと、テレビやネットの報道で流れてくる解説や数字を見ても、ただただ不安になってしまうだけで「何かよく分からないけど危ないらしい」と思い込んでしまいます。風評被害の一番大きな要因が、このような「原子力に対する理解不足」だと私は考えています。「原子力」とか「核」とか「放射能」などの名前が付くだけで不安になってしまったり、敬遠してしまったり。結果として「放射能がうつる」などという全く事実と反する理由で、福島から埼玉に避難した子供たちがいじめに逢うという悲劇が起こってしまうわけです。子供に理解しろというのは無理なので、これは周りの親が正しい知識をまるで持ち合わせていない故の結果…と私は捉えています。専門家がいくらテレビで言ったって無駄なんです。もはや誰も信用しません。だったら自分で正しい知識を身に付けるしかないのではないでしょうか?

要するに一番言いたいことは「自分で勉強してね」ということです。例えばシーベルトに関して言うならば、ブラジルと日本で基準が数倍程度異なります。それくらい「基準」なんて曖昧で適当なものなんです。大事なのは「何シーベルトでどの程度の健康被害があるのか?」ということをしっかりと知っておくことです。でないと、無闇にいろいろなものを敬遠してしまうことになるからです。

自分はどちらかと言えば専門家寄りの人間に属すると思いますが、まだまだ知識が不足しているとも感じています。調べて理解したことは逐一ブログなどで発信していくつもりではあります。なるべく主観無しにまとめて、ブログに分かりやすく解説していこうと思いますので。

とりあえず以上。

2011年5月12日木曜日

画像処理 第1章

画像処理という作業は、言ってしまえば「配列に格納されたピクセルのデータをどのようにいじくりまわすか?」という、極めて単純な作業である。しかし、その「配列」という代物がとんでもなく曲者で、配列と切っても切れない「アドレス」との戦いでもある。

コンピュータ上では、全てのデータは主記憶装置と呼ばれる「メモリ」に格納される。メモリというのは、広大な敷地のある土地のようなもので、そこに住所を割り振る作業…それを「マッピング」と呼ぶ。この作業は、基本的にはアプリケーションやOSが行い、普段我々が特別な意識を傾けることはない。しかし、この作業がなければ、広大なアドレス空間のどこに特定のデータを格納したか?の判別が出来ない。また、同じアドレスに重複してデータをしまってしまったりする。

今回の画像処理高速化のポイントは、この「アドレス」に直接データを取りに行き、配列へとコピーする作業をどうするか?ということであった。この一連の作業を「DMA(=Direct Memory Access)転送」と呼ぶらしい。

以前は、画像を1枚のBMP(ビットマップ)ファイルとして保存し、それを再び読み出し、APIを使って配列へと格納する作業を行っていた。この方法は、プログラムとしては極めてシンプルで見やすく、何をやっているかも分かりやすいアルゴリズムなのだが、肝心のスピードが出ない。保存と読み出しの課程で、どうしてもHDDを経由してしまうため、スピードが落ちてしまうのである。メモリとHDDのデータ転送速度は、人間の感覚には大差ないように思えるが、コンピュータ内部では雲泥の差なのである。

今回は、開発したアプリケーションソフトによってマッピングされた(正確に言えば、フレームグラバボードのドライバがマッピングした)アドレスへ直接データを取りに行き、それを配列へと格納することで、今までの数十倍のスピードを達成することが出来た。ただし、撮影するカメラの都合上、1秒間に撮影できる画面数は60枚である(=60fpsと呼ぶ)。1秒間に60枚ということは、1枚の撮影にかかる時間が1/60=17msである。今回用いたフレームグラバボードの転送速度は250MB/sである。1枚の画素数は640x485=310400pxである。画像の階調は256階調=8bitであるから、1ピクセルを1Byteと読み替えていいので、この画像は310400Byteである。よって、このフレームグラバボードは、単純計算で

250000000/310400=805.412371134020619
≒805

すなわち、805枚のデータを1秒間に転送できる計算となる。この数値と比較すると、1秒間に60枚のカメラの性能など低速もいいところ。今まで60枚の画像撮影に要していた時間は12秒程度であったが、60fpsをフルに生かして1秒で全ての作業が終了することとなる。

とりあえず今日はここまで。

以上。

2011年5月9日月曜日

画像処理最終章

終わった。

何とか30fpsをVB6で達成。

そのままではあまりにも速すぎたので、ウェイトを入れないと画像が乱れるという、とんでもない速さが実現できたとさ。

今回の件はいい勉強になった。このネタで一回学会出ておこうかしら。

明日に全貌を書く。ボードの会社の人にもお礼言っとかないとなぁ。

以上。

2011年5月7日土曜日

質量

一般相対性理論が実証されたというニュース。

以下引用------------------------------------------------

NASAの衛星、一般相対性理論を実証
ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト 5月6日(金)18時3分配信
写真を拡大

地球を周回する重力探査機B(GP-B)。発生した時空の歪みをパターンで表現している。
(Illustration courtesy NASA)
アルベルト・アインシュタインが一般相対性理論で述べた2つの重要な予言が、NASAの重力探査機B(GP-B)ミッションによって実証され、5月4日に発表された。

調査を指揮したアメリカ、カリフォルニア州スタンフォード大学のフランシス・エベリット氏は記者会見で、「アインシュタインの理論を検証する画期的な実験の結果、彼の予言は正しいことが証明された」と述べた。

GP-Bミッションが開始されたのは2004年。物体の傾きを極めて正確に感知するジャイロスコープ4台を衛星に搭載し、アインシュタインの重力理論における2つの側面が正しいか調査した。

一つ目は「測地線効果」、すなわち惑星など重力体の周囲で発生する時空の歪みだ。地球をボウリングのボール、時空をトランポリンと考えるとイメージしやすい。トランポリンの上にボールを載せるとへこむように、時空も地球の重力によって歪んでいる。

GP-Bが検証した重力に関するもう一つの予言は、回転する物体が時空を引きずる「フレーム・ドラッギング」効果だ。

GP-Bには恒星の方向を測る光学機器「スター・トラッカー」を搭載。上空約650キロの極軌道での調査中、機器の一端をペガスス座の連星「IMペガシ(IM Pegasi)」に向け続けた。

アイザック・ニュートンが考えた宇宙、すなわち測地線効果やフレーム・ドラッギングが発生しない環境では、ジャイロスコープはIMペガシに対して永遠に傾かない。

一方、アインシュタインの理論が正しければ、ジャイロスコープの回転軸の方向は、地球の質量と自転の影響で徐々に変化することになる。

「例えば自転する地球を蜂蜜のビンに沈めたとしよう。蜂蜜や中の物体も引きずられて回ることになる」とエベリット氏は説明する。「同じことがジャイロスコープでも起こっている」。

調査チームはデータを綿密に調べ、ジャイロスコープの角度が1年間に約6600ミリ秒角(約0.0018度)ずれていると発見した。「1ミリ秒角は16キロ先の人毛の太さに相当する。GP-Bの高精度でなければ確認できなかっただろう」とエベリット氏は語る。

実際、非常に小さな変化なので、アインシュタインは測定不能だと考えていた。1953年の著書『The Meaning of Relativity』(邦題:『相対論の意味』)に、「フレーム・ドラッギング効果は理論上存在するが、その規模は小さすぎるため実験室では確認できない」と記している。

偉大な科学者の予言を証明したエベリット氏は今回の結果に満足している。「NASAの尽力で実際に測定できたのは大きな進歩だ」。

ミズーリ州セントルイスにあるワシントン大学の物理学者クリフォード・ウィル氏は、「測地線効果とフレーム・ドラッギングは広く認識されていたが、画期的な実験でようやく証明できた」と同じ記者会見で発言した。

ウィル氏はプロジェクトに参加していないものの、「フレーム・ドラッギング効果の測定は、はるか遠宇宙における謎の解明につながるかもしれない」と期待を寄せている。

Ker Than for National Geographic News

引用ここまで------------------------------------------------

一つ目は「測地線効果」、すなわち惑星など重力体の周囲で発生する時空の歪みだ。地球をボウリングのボール、時空をトランポリンと考えるとイメージしやすい。トランポリンの上にボールを載せるとへこむように、時空も地球の重力によって歪んでいる。

ここが疑問。時空が重力に左右されるものならば、時空というものは質量を持った物体ということなのか?

今はあんまり時間がないので、後ほどゆっくりと眺めることにしよう。

以上。

2011年5月5日木曜日

学校

今日も学校です。

実験です。

測定です。

プログラムです。

以上。

2011年5月3日火曜日

業務連絡

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FT-IR光軸調整→完了

FT-IRのアライメント等について、一通りの調整が終わった。

自分の研究室はBOMEM社のMB100という装置を使っている。カナダの企業なので、説明書もすべて英語。今回ほど英語が使えることを便利に思ったことはない。

大事なのが液体窒素による冷却。これがないとプリアンプの熱雑音が増幅されて出てしまう。それに加え、レーザー発振器の窒素パージ。窒素は工業用のボンベに入ったものを使う。レギュレータからチューブを伝って、フローメータで微調整をしつつ、3L/minで2〜3時間窒素を流し続ければだいたいOKだと思われる。気を付けなければいけないのが、入っていった窒素は放出しなければならないこと。裏面に六角レンチで回すボルトがあり、これを解放して流し続ける。しばらく流し続ければ機器の内部が隅々まで窒素パージされる。おもむろにボルトを締め、少々待つ。すると、機器内部の圧力が大気圧より高い状態になる。そして窒素のボンベを閉じる。内部圧力が高いと、外気が内部に入りにくくなるため、水分や二酸化炭素などの不純物が機器内に混入しづらくなる。

赤外レーザのため、レーザそのものは目で見ることができない。そのため、厳密に機器の水平を取り、検出部とレーザ発振部の高さを合わせる必要があった。単純な作業のため、方法は省略する。

検出部の格納容器内も窒素でパージできるようになっている。しかし、実際に窒素を流しながらアライメントを取ったときと、流さないで取ったときとでは大きな違いは見られなかった。そのため、特に格納容器のパージは不要と思われる。ただし、湿度の高い日や時期では、無用の外乱を絶つために流した方がいいのかもしれない。念のため、格納容器内部にシリカゲルを3袋程度入れておいた。

機器本体には、乾燥剤を格納する容器が隠されている。湿度インジケータがネジ状になっており、これを取り外すと内部に乾燥剤を格納する容器がある。念のため乾燥剤を交換しておいた。…といっても、バラして電子レンジで再利用だが。シリカゲルは電子レンジで復活するらしい。

以上の厳密な調整を経て、アライメントが復活した。しかし、レーザ出力が強すぎてオーバーフローを起こしてしまう。まず、プリアンプの感度を下げてみる。感度調整はプリアンプ本体(格納容器内部)にA〜Eまでのツマミがあり、それぞれが1〜5倍の受信感度になっている。今まではBになっていたが、今回Aに戻した。説明書には「通常Aで使用してください」と書いてあったが、かつてBにした理由は、恐らく真空チャンバ内のシリコン基板に堆積した膜をリアルタイムで測定するため、光路長が増大し、また臭化タリウムガラスを通るために、絶対的な光量が低下したことによる措置だろう。

ツマミでBからAに調整するも、未だにオーバーフローを起こす。そこで、光量を若干減らすために「網」を使う。これを使うことで、アライメント79%まで低下した。説明書には「アライメント60%〜80%の間で測定すること」とあるので、ほぼ理想通りの光学系を構築することができた。

今後の課題として、今まではピンセットで試料を挟み、検出部の一部分で試料を挟み込んで測定していたが、このやり方では効率が悪い。何より、試料に傷がついてしまう。これをどうにかうまくできないものか?

明日の作業予定
・DMA転送によるフレームグラバボードの画像処理プログラミング
・FT-IRのデータ編集ソフトの日本語化パッチ作成
・デジタルオシロの波形取得プログラム
・実験室の片付け

以上。