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2011年2月28日月曜日

4WDに関する勘違いby雪国視点

先日、友人からこんな相談を受けた。

「うちの弟が今度フォレスタ(スバルのクロカン系)を買うんだけども、その理由が『四駆ならスタッドレス無しでもスキー場に行けるから』という理由らしくて。これって妥当なのか?」と。

いやはや、今の時代こんな勘違いをしている人がいるものか…と。

確かに、自分の住んでいた北海道では四駆の車はたくさん走っている。北海道スバルの売り上げは、恐らく全国で見ても上位にランクインするだろう。だが、このことが「四駆がたくさん売れている」→「雪道に強い」→「だったら、雪のあんまり降らない場所なら安全」という幻想を生み出す原因となる。

北国で四駆の車が売れている原因…それは「ゼロ発進からの始動性」「低速での走破性」に尽きると思う。決して「雪道を滑らずに走れる」というものではない。

ゼロ発進からの始動性や走破性が何故優れているか?と言う理由であるが、これはただ単純に確率の問題である。例えば、2つのタイヤが回るFF(フロントエンジン・フロントドライブ…前にエンジンがあり、前のタイヤが回る)やFR(フロントエンジン・リヤドライブ…前にエンジンがあり、後ろのタイヤが回る)では、エンジンの回転を伝達するタイヤは2つである。他の2つはエンジンの力では回らない。自動車は、エンジンの回転を受けて回っているタイヤが、地面との摩擦を発生させることによって前に進む。逆に言えば、この摩擦が発生しなければ前に進むことはできない。FFやFRの車では、それぞれの場合の駆動輪が地面との摩擦を得られなければ、決して前に進むことはできないのである。

では四駆の場合はどうか?その回転するタイヤが4つ存在するのだから、単純に摩擦を発生させられる可能性も、単純に2倍程度になるだろう。3つのタイヤがダメでも、1つのタイヤさえ食いつけば、何とか前に進めるのである。四駆の「始動性」「走破性」は、このような理由によって説明が付く。

しかし、車の駆動システムがどうであろうと、タイヤが4つ付いていることに変わりはない。つまりこのことは、ある程度のスピードを出しながら走行しているのならば、地面から受ける摩擦に大して変わりがないことを意味する。ブレーキを踏んだのなら、駆動システムの違いなど、何の意味も持たなくなる。それどころか、他の駆動システムと比較してメカニズムが複雑で、車重も重くなりやすい傾向がある四駆は、自重による慣性が他の駆動システムと比較して大きくなりやすい傾向が無いとも言い切れない。簡単に言えば「滑り出したら止まらない」のである。

そんな私も、普段は四駆の車に乗っている。H10年式のレガシィセダン。北海道からやってきた車であり、北海道でも2回の冬を経験した。もちろんスタッドレスタイヤである。北海道での運転は、決して「急」の付く動作を行ってはならない。すなわち「急アクセル」「急ブレーキ」「急ハンドル」の3つである。何も四駆に限ったことではなく、それは他の駆動システムでも同じこと。以前はFRの車(H3年式のFC型RX-7)に乗っていたが、走り出してしまえばレガシィと何ら変わりはない。それどころか、滑った状態からの立て直しは、セブンの方が幾分か楽だったような気がする。軽い車重(レガシィ比-200kg)に加えて、前のタイヤが「操舵輪」としての役割しか持っていない、4つのタイヤが役割分担を持っているというバランスの良さによるものと思う。ハンドルに適切な操作を加えつつアクセルをふかすことによって、立て直しを図ることができた。四駆は、ハンドルを回しながらアクセルを踏むと、前のタイヤの向いている方向にすっ飛んで行ってしまう。路面のグリップが回復した瞬間に、予期せぬ方向へと向かって進んで行ってしまうことだってあるだろう。ただし、しっかりしたステアリングコントロール技術を持ち合わせているならば、全てのタイヤが回転し、4輪のグリップを最大限に生かせる四駆は大きな武器になるだろう。

結局は「走り出したら、どんな車でも変わらない」のである。四駆だからという理由で「雪道が安全」という結論を導き出すのは大きな間違いである。ノーマルタイヤ(夏タイヤ)でスキー場に行くなんて自殺行為としか言いようがない。たかだか4万円で命が買えるものだと思えば安いものじゃないか?万が一事故ったときには、それはもう取り返しの付かない代償を払うことになるのだから。偶然、夏タイヤで1回くらい行けたとしても、それは文字通り「偶然」であり、運が良かっただけである。というのも、天候や路面状況というのは刻一刻と変化し、常に同じコンディション…ということはない。天候不順なら尚更のことである。行きに晴天でも帰りは吹雪、ということだってあるだろうし、日中に雪が降りしきり、帰りは圧雪アイスバーン…という最悪な可能性も否定できない。

何度も言うが、冬道に夏タイヤは愚かな自殺行為である。北海道の人間なら、誰もが知っている。いや…北海道の人間だからこそ、かも知れない。自分が単独で事故を起こすだけであれば「自己責任」で済まされるのだが、その事故によって他の数多くの交通に対して渋滞などの弊害をもたらすのであれば…?自分たちを搬送する救急車は?事故処理を行う人たちは?自分だけでなく、多くの人に迷惑をかけると言うことを認識し、常に危険と隣り合わせの状況であるという覚悟を持って、冬道は運転すべきであると思う。安全装備に関しては、ちょっとやり過ぎかな?と思うくらいがちょうどいい。スタッドレスタイヤの装備は言うまでもない。

以上。

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