先日、我が家に一本の電話が鳴った。
「お宅の湯沸かし器を、ガスからエコキュートにしませんか?」
よくある訪問販売的な電話であった。
電話の喋り主曰く、ガスよりお得で経済的、さらに環境にも優しいという。
本当だろうか?
とふと思ったので、ちょっとだけ検証まがいのことをしてみようと思う。
☆ガス方式との違い
ガス方式とは、言うまでもなくガスの燃焼によって生じた熱エネルギーを水へと転移させ、お湯にするものである。都市ガスの場合、組成のほとんどはメタンガス(=分子量16)であるため、燃焼によって所謂「温室効果ガス」が生じることとなる。よって、メタンガス1molを完全燃焼させたときの反応式は、
CH4 + 2O2 = CO2 + 2H2O + 熱(802kJ)
一方エコキュートは、空気を利用したシステムであるという。空気?と一瞬思ったが、調べてみるとCO2のことであった。このCO2をヒートポンプ内に導入し圧縮させ温度を上げて、この高温となったCO2と水とを熱交換によって熱転移させ、お湯にするというものである。
☆熱効率
燃焼という反応は密閉された反応室内で行われるであろうから、燃焼によって生じた熱がどれだけ効率よく水へと伝えられるかが重要なことである。とあるサイトには「従来型で熱効率80%」との表示があった。ということは、802kJのエネルギーのうち、湯沸かしに使われる熱量はおよそ640kJということである。ということは、メタンガス1molの燃焼によって、何リットルの水を20℃から100℃へと沸騰させられるというと、
640 x 1000 / (4.2 x (100 - 20)) ≒ 1900 (g) = 1.9 (L)
ここで4.2というのはcal→Jへの変換値である。このことより、1molのメタンによって、1 秒間に20℃の水から100℃のお湯1.9リットルが得られることとなる。
これが冬などの水の温度が低いときではどのような違いがあるだろうか?水の温度が20度ではなく10℃だったとき、
640 x 1000 / (4.2 x (100 - 10)) ≒ 1700 (g) = 1.7 (L)
従って、水の温度の原点が10℃異なると、結果的に200mlの差が生じることとなる。
エコキュートの方はどうだろうか。
エコキュートは、高温外気(夏期30℃程度?)をファンでCO2に送風後、この30℃のCO2をコンプレッサで圧縮し、温度を上げることによって、より高温のCO2を獲得するという仕組みである。エアコンとは逆の反応である。
エコキュート内のガス圧は10MPaに到達するという。これはコンプレッサによって圧縮された結果であろうから、このとき、CO2の温度は100度に達しているはずである。よって、加圧された状態のCO2の体積を1.9Lとすると、
10x10E6 x 1.9 = n x 8.3x10E3 x 373
∴ n = 6.14 (mol)
30℃の時では、1molの時の体積は
273 : 303 = 22.4 : V
∴ V = 24.86 (L)
そのときの圧力は、
24.86 / 22.4 = 1.11
P = 1013hPa x 1.11 = 1124.43hPa
100℃の場合との圧力差は、
10MPa - 1124.43hPa
=10000kPa - 112.443kPa
=9887.557kPa
=9887557Pa
=97.58atm
よって、この圧力によるエネルギーは、
97.58 x 1.9 = 185.402 L atm = 18785.86 J ≒ 18.8kJ
コンプレッサの効率が50%程度であると考えると、実質的なエネルギーは、
18.8 / 2 = 9.4kJ
この熱量が全て水に熱変換されたとすると、
9.4 x 1000 / (4.2 x (100 - 20)) ≒ 27.98 (g) = 0.028 (L)
…本当かなぁ?どっかで計算間違っている気がするけど。
コレを見ると、CO2がもっと必要なんじゃないかって思うけど。
例えば1.9Lでなく20Lくらいあったとして、コンプレッサの効率が100%であったとすると…。
97.58 x 20 = 1951.6 L atm = 197745.87 J ≒ 197.75kJ
197.75 x 1000 / (4.2 x (100 - 20)) ≒ 588.54 (g) = 0.59 (L)
うーん、こんなもんか。
電力とガスじゃ値段が違うだろうし。
ガスの方が3倍くらい効率がいいって結果になってしまったけど。
気が向いたら、また計算しなおしてみよう。
以上。
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