ただし、口々に言われるのが「ソフトバンクは電波が悪い」というお言葉。
有名な話である。
ホントに悪いの?と思って調べてみると、結構いろいろなこと分かった。
決して電波が悪い=電波の質が悪い…ってワケではないらしい。
以下、分かったことを書き出してみる。
図が一切ないが、ご容赦願いたい。
ご存じの通り、ソフトバンクモバイルの親会社はソフトバンクである。
このソフトバンクモバイル、親会社であるソフトバンクがボーダフォンを買収する前は「携帯電話事業者免許」の取得に躍起になり、取得後は「新会社を設立する」ではなく、結局ボーダフォンを買収したという経緯をたどって誕生している。
ところで、ケータイの電波というのは「波(=電波)」であるから、周波数を持っている。ラジオの周波数と同じものだと考えればいい。AMは1000kHz(=1MHz)あたり、FMは70〜100MHzあたりの電波を使って放送を行っている。
車でラジオを聴かれる方はすぐに分かってもらえると思うが、FMは音質面で有利だが、山道などの電波が弱そうなところでは、すぐにノイズで放送が遮られてしまう。一方、AMは音質面ではFMに及ばないものの、少しくらいの山道、トンネルならば問題ないレベルで放送を聴くことができてしまう。
このAM、FMの違いは…もちろん周波数なのであるが、この周波数の違いが電波の「拡散」「回折」の違いでもある。言ってしまえば、周波数が低ければ低いほど直進せずに拡散・回折しやすく、周波数が高ければ高いほど拡散・回折せずに直進しやすいということである。また、回折とは波の回り込みのことで、トンネルのような電波が遮断される場所でAMラジオが聴けるのは、AMの波がトンネルの内部まで回り込んでくるためである。
現在の日本において、電波法によってケータイに割り当てられた周波数は、主に800MHz帯と2GHz帯の2つである。ちなみにPHSは1.9GHz近辺、また身近な例では2.45GHzは電子レンジに使われている。
その昔PHSが「地下ではつながりにくい」といわれていたのは、この1.9GHzという比較的高い周波数のせいで、周波数が高いので電波が回り込まず(回折せず)、地下のような場所、またビルの隙間などでは電波が届かなくなる、という現象が起きた。気をつけてもらいたいのは、決して「電波そのものの質が悪い」とか「出力が弱い」という問題ではないことだ。電波の種類が違うのだから、ケータイの800MHzと異なって当たり前である。
ソフトバンクモバイルは、現段階で2GHzの使用許可しか得ておらず、800MHz帯を使うことができないらしい。対照的にDocomoやauは、2GHzと800MHz両方使うことは出来るものの、800MHz帯の放送基地をたくさん所有しており、2GHzの放送基地をあまり所有していない。詳しくは「第3世代移動通信システム」を参照。
しかしながら、世界の主流は2GHz帯の方である。2GHz帯の方がデータ通信速度の点で有利なので、スマートフォンのような「パソコンを小さくしたようなケータイ」を作るメーカは、2GHz帯を選択する…iPhone(=アップル)もその1つであった。
Docomoやauが「つながりやすい」、ソフトバンクモバイルが「つながりにくい」のは周波数の違いであって、決して電波の質の問題ではないということに注意したい。PHSの例と同じく、そもそも特性の違うものなのだから、それが目に見える「電波の数」に現れて当たり前なのである。
ソフトバンクモバイルは、この「2GHzしか持っていない」ことを逆手に取り、iPhoneの契約にこぎ着けたと見られる。両者Win-Win、至極当然の流れと言えよう。
Docomo、auは「つながりやすさ」に大きなウェイトを置き、2GHzの通信には現段階であまり興味がないらしい。だから「DocomoでiPhone」は、もともと不可能なシロモノなのである。いくらSIMロック解除!とか言ったって、ソフトバンクモバイルより悲惨な電波状況になるのは火を見るより明らかである。だって、ソフトバンクモバイルよりも基地が少ないんだもん。
ただ、日本の国土の半分は森林・山である。その辺りを考慮すると、Docomoやauが重きを置く「つながりやすさ」というのは重要なパラメータであるように思う。いくら便利なスマートフォンだって、電波がなければ意味がない。電話が出来なければ「フォン」でなくなってしまうわけである。
ではどうすればいいか?
2GHz帯の基地、アンテナを増やすしかないだろう。
郊外に「どーん」と立っているケータイのアンテナ。あれは800MHz帯のものである。対照的に、2GHzではアンテナも小型化出来る。それこそPHSの時代には自動販売機の片隅にも設置出来たように、800MHzと比較して小型なのである。その昔、PHSの会社が鬼のようにアンテナを増設したかの如く、いろいろなところにアンテナを増設するしか手はないだろう。逆に言えば、ソフトバンクモバイルがiPhoneによってある程度の利益を上げている一方、その利益を利用者に還元しない(=アンテナの数を増やさない)のは怠慢であると言えるのかも知れない。まあ、その辺はあちら(欧米)とこちら(日本)では事情が違うのかも知れないが…でもNYもすごいビルディングだらけだよね。何なんだろ。やっぱ怠慢なのかな?
今後、世界的なケータイの電波規格はいよいよ4Gへと移行していくわけだが、日本の事情から、なかなかGHz帯への移行が進んでいない。日本のケータイはこれから先、スマートフォンとガラパゴスケータイが混在する、極めて特殊な状況になっていくだろう。
以上。
iPhoneにしたものでございます。
返信削除ソフトバンクの電波はわたくしも相当不安でしたが、今現在札幌に限ってはまったく不自由すません。
正直噂の一人歩きもしくは持ってもいないのにネガキャンされてる気もしますねえ。
コメントありがとうございます。
返信削除「マカー」と「ドザ」の罵り合いの歴史は長いですから、それこそアップルが何か出す度に誰かが何かしら言いたくなるのはもはや「お約束」と言っていいかも知れません。
ふと「同じケータイどうしなんだから、1キャリアだけ電波が悪いことなんてあるの?」と疑問に思いましてね。調べてみたらこうなったというわけです。正しいかどうかは検証のしようがないので、ネット上の情報と自分の脳ミソに頼る以外はないのですが…。
個人的にはケータイも計算機も、結局は文房具やごはん食べるときのお茶碗やお箸と同じ「道具」なんで、手になじんだ使いやすいものを使いたい、ただそれだけでございます。
でも、目的は一つでも手段がたくさんあるように、世の中にはいろいろなシロモノが存在します。
単一の手段に固執せず、新しい手段はなるべく多く知っておくに越したことはございません。ですから、個人の信条としては、できるだけいろいろなシロモノに触れてみてから批判なり賞賛なりをしたいと思っています。
iPhoneも面白そうなんだけどねぇ…。
高速通信帯域(2GHz帯)と4Gがこれからどういう風に発展していくのか、はたまた衰退する運命なのか?見届けてからかな。講習無線LANもまだまだ定着しているとは言いづらいエリアもたくさんあることだし。
あたいのような人間にはまだ必要ないかな、って様子見。
なので、何も言えませんね。