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2010年7月9日金曜日

プラズマ再考 第4回

さて、プラズマクラスターは、企業のHPだけの情報ではもはやよく分からないので、今回は身近にある「プラズマ」を探してみようと思う。

一番身近なプラズマは、何と言っても「蛍光灯」だろう。

ただし、蛍光灯の光自体がプラズマであるわけではなくて、プラズマによる非可視光の放出によって蛍光物質を光らせているわけである。

蛍光灯の両端には電極が付いている。ここで放電を発生させるわけだが、実は蛍光灯の管内には「水銀蒸気」が含まれている。この水銀を放電によってプラズマ化すると、紫外線が水銀原子から放出される。その紫外線が蛍光物質を光らせ、蛍光灯として室内を明るく照らし出す、と言う仕組みだ。

蛍光灯の内部には水銀蒸気だけでなく、アルゴンガスが封入されている。これは、水銀だけではプラズマ化されにくいため、アルゴンガスが一足先にプラズマ化することによってエネルギー密度を高め、水銀蒸気もプラズマ化されやすい環境を作っているのである。

水銀の紫外線で蛍光物質を光らせていることは分かった。では、なぜ敢えて「蛍光物質」というワンクッションを置いて光を作らなければいけないのか?プラズマの光で直接照らせばいいじゃん、と思われるかも知れない。

光の3原色」と言う言葉をご存じだろうか?R=赤G=緑、そしてB=青の3色の組み合わせによって、どんな色の光でも表現出来るという概念であるが、この3色を均等に混ぜ合わせると、白い光=白色光線ができるのである。

プラズマによって放出される光というものは、気体の種類によって決まっており、その色は「波長(単位:nm)」で表される。水素だったら赤色(400〜650nm)、アルゴンなら紫色(300nm付近)、窒素だったらピンク(400〜500nm)である。300nm以下では紫外線、1000nm以上では赤外線になる。このように、気体の種類によって様々な色を放出する。逆に言えば、1種類の気体では、その色の光しか放出しないのである(厳密に言えば異なるのではあるが)。

白色光線にするには、どうしても3種類の光を混ぜ合わせる必要がある。しかし、1つの蛍光管の中に均等にそれらの気体を封入するのは、恐らく蛍光灯発明当時の技術では現実的ではなかったと思われる。また、実現出来たとしてもまぶしすぎて室内照明には向かなかったであろう。したがって、気体の混合によって白色を実現するよりは、はじめから白色光を放出する特性を持った蛍光物質を紫外線で光らせた方が簡単だし、白色以外の色も作りやすいからであろう。

ここ10年来で、車のヘッドライトが「ハロゲンライト」から「HID」へと変化した。HIDとは「High Intensity Discharge」の略で、日本語にすると「高明度放電」である。つまり、HIDとはライトとして有用な光の量を放出しうる放電形式の一つを言っているわけで、決してライトそのものを指しているわけではない。よって「HIDライト」と呼ぶのが正しい言い方であろう。

このHIDライトも、放電プラズマの応用例の一つである。よく「蛍光灯と同じような原理」というが、それは半分正解で半分ハズレである。白熱電球やハロゲンランプのような、フィラメントに電流を流し、そのジュール熱に伴う発光を利用したライトとは異なり、放電プラズマを利用した照明…と言う点では両者とも同様ではあるが、蛍光灯が上記のような原理による「間接的な照明器具」であるのに対し、HIDライトは「放電プラズマを直接照明に利用した照明器具」である。蛍光灯よりはネオンサイン写真用フラッシュ用放電管の原理に近い。

HID放電管の内部にはキセノンガスほか数種類の気体が封入されており、それらガスの波長の組み合わせによって白色光を得ることが可能である。ガスの混合具合によっては白色のほか、青っぽい光を得ることも可能となっている(青すぎると車検的には不適合であるが)。

照明として使われる2つのプラズマについて挙げてみた。次回は、照明でないプラズマについて。

以上。

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