電力使用量NOW

2010年7月6日火曜日

プラズマ再考 第2回

さて、プラズマクラスターの続き。

プラズマクラスターと呼ばれる粒子の発生が放電によるものであるということは先に述べた通りである。つまり、何かをイオン化、ラジカル化させるには放電が一番手っ取り早い。しかし、他にもイオン化させる手段はたくさんある。

例を挙げれば水溶液中でナトリウムイオン(Na+)と塩化物イオン(Cl-)に分かれる塩化ナトリウム、水酸化ナトリウムも水溶液中で水酸化物イオン(OH-)とナトリウムイオン(Na+)に分かれる。水がイオン結合粒子であるNaClの結晶構造を分解し、溶解させるからである。

「塩化ナトリウム」の構造。
紫色がナトリウム、緑色が塩素である。
これを水に溶かすと粒子がバラバラになり、イオン化する。
出典:Wikipedia

これらの「イオン化した何か」に共通することは「電気を流しやすい」という性質、また「不安定であるから何か他のものと結合したがる」という性質である。

イオン化した粒子は、それぞれの電荷(プラス・マイナス)を持っているため、その場に電位差が生じる(電圧をかける)と、自身が持つ電荷とは逆の方向に引かれていく。そして、電極まで到達したときに、負イオンならば自身の持っている電子を放出し、正イオンならば電子を受け取って、自身は別の粒子へと変化する。そのようにしてイオンが「キャリア(電子を運ぶ仲介役)」として働くため、電流が流れるのである。

塩化ナトリウムのイオン化と電流について。
イオン化した粒子は、自身の電荷と逆の極性に向かって移動する。
陰イオンは電子を放出し、陽イオンは電子を受け取ることで電流が流れる。

純水は電気を通しにくいと言われているが、これは純水中にはイオンとなるべき粒子(主にミネラル類:ナトリウム・カルシウムなどのアルカリ土類金属元素類)が含まれていないため、キャリアとなるべきイオンが存在しないことによる。

「エビアン」のラベル。
表示に記載されている「ナトリウム」「カルシウム」などが
キャリアとなる存在。

しかし、純水であろうとも、放電によってイオン化させることができる。何故なら、放電は熱エネルギーなどと比べてエネルギーの密度が大きく、温度換算すると「炎」の2桁上を行くからである。電界によって生じたポテンシャル勾配によって、粒子(主に電子)がドリフトし、原子や分子をイオン化(電離ともいう)させることを「プラズマ化」という。

つまり、プラズマとは「気体分子が電離し、エネルギー密度が高くなった状態」のことである。「物質の第4態」と呼ばれるのは、固体より液体の方が内部エネルギーが高い状態である(粒子の運動が活発である)こと、また、液体より気体の方が(同上)…、そしてプラズマは気体がさらに活性化したものであるから「気体がさらに内部エネルギーを持った状態」ということから「第4態」と言われるのである。

プラズマ化した水素(左)とハロゲン化合物(右)。
内部は正イオン、負イオン、ラジカル、気体分子、電子の入り乱れた
複雑な気相状態である。

陽イオンは+(プラス)の電荷を持っているため、陰イオン(マイナスの電荷を持っている)と結合しやすい。この結合を「イオン結合」という。結合の仕方は他にもあって、電子を共有する「共有結合」が挙げられる。この2つの結合の仕組みは全く異なるものであるが、共通していることは「電子」が鍵を握っていることである。

所詮原子なんて「陽子」「中性子」を含む「原子核」、そしてその周囲を回っている「電子」の数で決まっているのである。そして化学反応とは、その周囲を回っている電子のやりとりのことである。

で、プラズマクラスターの話。

そのような不安定な状態のイオンが、果たして空気中でどのように存在し、どのような働きをするのだろう?

空気の組成は「窒素」「酸素」で9割以上を占め、残り数%を「二酸化炭素」「希ガス(アルゴン・ネオンなど)」などが占める。

特に「酸素(O2)」は、放電によって活性化し「オゾン(O3」へと変化する。コピー機の周辺にいると、茶渋のような臭いがするときがあるが、コレがオゾンである。オゾンはフッ素に次ぐ強い酸化力を持ち、人体にとっては猛毒である。「酸化」とは「電子を放出する反応」のことであるから、オゾンが電子を放出し、自身は酸素へと戻っていく。

酸素のアイソトープ(同位体)であるオゾンの構造。
酸素は通常2つの対で一つの分子を成すが、
高エネルギー状態にさらされると3原子によるオゾンが発生する。
地球を紫外線から守るファイアウォールとしての役割で知られ、
ポジティブなイメージを持つが、人体には猛毒である。
出典:Wikipediaより

以上のように、酸素は自身の持つ酸化力のために、他の物質を不活性化させる作用がある。よって、プラズマクラスターは、放電によって空気や空気中の水を分解、イオン化させ、活性酸素(OH-やO3)を発生させ、それによって空気中の雑菌やウィルス(両方とも有機生命体)を不活性化させているのではないか…?と考えられる。

となると、活性酸素は決して放出されているわけではなく、取り込んだ空気に対して放電を行っていることになるのか?

それだったら、放電で直接空気を清浄化させた方が早いと思うんだけども…?

う〜ん、考えれば考えるほど分からなくなっていく。

とりあえず今日は以上。

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