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2010年6月15日火曜日

理系人間のための英語勉強の基礎 第5回

今回は疑問文について。

教育の現場、また英語が苦手という人たちと話をしていくと「疑問文が苦手」という人が少なくない。聞けば「パターンが多すぎて覚えきれない」とのこと。まさに、英語を暗記教科と勘違いしている人の典型である。

しかしながら、英語の疑問文は極めて単純である。大きく分けて、

・Yes/No疑問文
・6W1H疑問文

の2つである。日本語でも同様であるが。


Yes/No疑問文とは自分が勝手にそう呼んでいるだけで、実は正式名称があるかも知れない。しかし、中学生に教えるのには勝手がいいので、よく用いている。

このタイプの疑問文は、答えが「はい」か「いいえ」の2パターンだけであるということが大きな特徴である。つまり、対象とする物や人が、ある物事に対して行動をしたか、していないか(一般動詞)、対象とする物や人が、別の対象と合致するかどうか(be動詞)ということである。

言葉にすると小難しいが、英作文は極めて単純である。be動詞の場合、

He is Bob.
This is an apple.

の「主語」と「be動詞」を反転させることにより、Yes/No疑問文となる。

Is he Bob?
Is this an apple?

また、一般動詞の場合、主語の前に「do(does)」を付加することにより、Yes/No疑問文となる。

They play soccer.
→ Do they play soccer?

He went to Hokkaido last year.
→ Did he go to Hokkaido last year?

見て分かる通り、この場合の「do(does)」の役割は明らかに「助動詞」である。

They can play soccer.
→ Can they play soccer?

They play soccer.
→ Do they play soccer?


上記「Do」が「Can」に置き換わっただけで、他は全く同様の文型をしている。このことから、否定文や疑問文で用いられる「do(does)」の文法上の役割は、助動詞であることが容易に理解できる。

次に6W1H疑問文であるが、この「6W1H」とは、

what → 何
where → どこ
who → だれ
when → いつ
which → どれ
why → なぜ
how → どうやって

の7つ、いわゆる「疑問詞」のことである。ちなみに「who」は格変化を持ち、

who(主格)
whose(所有格)
whom(目的格)
whose(所有代名詞)

と、代名詞の格変化と全く同じ4つの格を持っている。これらをいちいち別の単語として扱うと英語のヨコ線が見えなくなるので、まとめて覚えるべきであると考えている。

では、説明の前に…前挙の例文をそれぞれ6W1H疑問文にしてみよう。

<be動詞>
He is Bob.
→ Who is he?

This is an apple.
→ What is this?

<一般動詞>
They play soccer.
→ What do they play?

He went to Hokkaido last year?
→ Where did he go last year?

ここで、上記6W1H疑問文と、Yes/No疑問文を比較する。

Who is he?
Is he Bob?

Is this an apple?
What is this?

What do they play?
Do they play soccer?

Where did he go last year?
Did he go to Hokkaido last year?

何か法則的なものが見えてこないだろうか?
実は、6W1H疑問文元になっているのはYes/No疑問文なのである。

疑問詞は、7つあるそれぞれが目的語または補語を指し示しており、それらを疑問として問いかけるためのものである。従って、6W1H疑問文には、その疑問詞自身が指し示すべき目的語、補語は文中に存在しないはず。当然である。疑問詞を用いることによって「それ」を聞き出したいのだから。そしてその疑問詞自身は、指し示すものをより明確にするために、文章の先頭に位置する決まりがある。

具体的な6W1H疑問文の作成手順は以下の通りである。

1:元となる肯定文・否定文から「Yes/No疑問文」を作成する。
be動詞
This is an apple.
→ Is this an apple?
一般動詞
He went to Hokkaido last year.
→ Did he go to Hokkaido last year?

2:作成されたYes/No疑問文から、疑問詞に置き換わるべき箇所を探す。
be動詞
Is this an apple?
の場合「何(what)」と聞きたいので、「何」に相当する部分は「an apple」である。
一般動詞
Did he go to Hokkaido last year?
の場合「どこ(where)」と聞きたい場合と「いつ(when)」と聞きたい場合の2つが考えられるが、とりあえず今回は「どこ」と聞くことにすると、「どこ」に相当する部分は「Hokkaido」である。前置詞である「to」は、行き先を指し示す矢印のようなものであるため、疑問文中には含まない。

3:疑問詞を一番前に置き、さきほどの置き換わるべき箇所を消去する。
be動詞
Is this an apple?
→ What is this an apple?
一般動詞
Did he go to Hokkaido last year?
→ Where did he go to Hokkaido last year?

4:整えて完成。
be動詞
What is this an apple?
→ What is this?
一般動詞
Where did he go to Hokkaido last year?
→ Where did he go last year?

この手順を踏めば、疑問詞で迷うことはまずあり得ないと断言できる。英語に慣れないうちは、たとえ時間がかかったとしても、この手順を踏んでいくことによって確実に疑問文を作成することが出来るはずである。そして徐々に慣れてきたら、もとの肯定文・疑問文から直接疑問文を作成することも可能になるはずである。

しかし文章が長くなってくると、どこからどこまでが主語であるか、どこまでが疑問詞に置き換わる部分か、という判断が難しくなる。その問題は、多くの文章を目にしていくことにより、自然と分かってくるようになるはずである。

以上のように、疑問文は極めて単純でシステマティックな構成をしている。数あるパターンを個別に覚えるのではなく、全てを関連づけて結びつけていくことが大事なのではないだろうか。

次回以降は、助動詞の種類と用法について考える。

以上。

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