世界の電源の方式は様々である。ある国では200Vであったり、125Vであったり。コンセントの形も様々。丸型の3つのプラグであったり、日本のような平型2本であったり。しかしながら、どの国でも「交流送電」という方式は共通している。かつて、かのトーマス・アルバ・エジソンは「直流送電」方式にこだわっていた。しかしながら、交流送電方式の方が初期コスト的、効率的に優れているという結論から、現在では交流送電が圧倒的主流である。そして、この交流には常に「周波数」という問題がつきまとう。
日本という国は、コンセントから取る電源の周波数が50Hz(1秒間に50回の振動を繰り返す)と60Hz(同様に)の2種類が存在する、世界的に見ても珍妙な電源形態を持つ国である。これは明治時代に、東日本(東京側)と西日本(大阪側)で、海外から輸入した発電機が異なっていたことによる。すなわち、東日本ではドイツから50Hzの発電機、西日本ではアメリカから60Hzの発電機を輸入して運用した。当然、現在でもドイツをはじめとするヨーロッパ諸国は50Hz、アメリカでは60Hzの周波数である。
この2種類の周波数が存在することで、一体どのような不具合が発生するのか?まずは現在、東日本で実施されている「計画停電」で問題になっているように、西日本から東日本への電力の融通が非常に煩雑であると言うこと。周波数の変換にはいろいろな方式があるが、一番単純なのは、交流を一旦直流へ変換し(整流という)、その直流電流を50Hzのタイミングでスイッチングを行うことにより、50Hzの交流へと変換する(このような装置をコンバータと呼ぶ)。この方式であると、その周波数変換所の機器的制限によって、大電力を一度に変換することができない。
次に、正確なタイミングなどが要求される電磁機器…例えば電子レンジなどは、内部にマイクロ波を発生させるための回路があり、それぞれの周波数でちょうどマイクロ波の周波数になるように設計されている。そのため、本来の周波数でない地域で使用すると、マイクロ波の周波数が変化し、危険が生じる。また、クオーツからタイミングを取得するのではなく、電源からタイミングを取得する時計などは、周波数が異なれば進んだり遅れたりする。
今回の大震災で一般の人たちにも意識を向けさせたこの「周波数問題」であるが、今後の展望はどうなっていくのであろうか?個人的にはとても不便であるし「百害あって一利なし」であるように思えるのだが。電力会社や発電機設計各社がどのように対応していくのか、しっかりと見ていきたいと思う。
以上。
2011年3月20日日曜日
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