「交響曲第3番」(A.ハチャトゥリアン)
グリュシチェンコ/BBCフィルハーモニックオーケストラ
「ハチャトゥリアン」と訊くと、どんな曲を思い浮かべるだろうか?スパルタクス?ヴァイオリン協奏曲?仮面舞踏会?…多くの人は音楽の授業でも習う「剣の舞」を含む「ガイーヌ」思い浮かべるだろう。最近はフィギュアスケートの影響で仮面舞踏会…というケースも増えているんだろう。
そんなハチャトゥリアン、そのようなバレエ組曲の他に3つの交響曲を遺している。どれも非常に個性的な作品であるのだが、その中でもひときわ異彩を放つ一曲…それが「交響曲第3番」である。
一部マニアには非常に有名な一曲であるが、中には「ハチャトゥリアンが交響曲なんて書いていたの?」というお方もいらっしゃることだろう。それほど「隠れた」迷曲なのである。
何が凄いって…まず編成がぶっ飛んでいる。トランペットだけでも15本!それに4管編成のフルオケ+オルガン(もちろんパイプオルガン)という巨大なものである。なるほど、国内で演奏例が少なく、一般に広く知られていないのもうなずける話である。人を集めるだけでも大変であろう…。
そのオルガンであるが…エルガーの「威風堂々」の如く「薄ーく」使われているわけではない。ソロ楽器として大々的にフィーチャーされている。それも一種の「オルガン協奏曲」と言ってもいいくらい、それはもう弾きまくりの鳴らしまくり。初演当時、ソヴィエト当局には「地方で演奏が出来ない」と言う理由で批判され、それ以来演奏の機会を失った…という話がある。当時のソヴィエト当局に批判される…ということは即ち「社会的抹殺」を意味するのであるから、ハチャトゥリアンもずいぶん苦労したらしい。
今回耳にした「BBCフィル」の演奏であるが、一般的には「狂気」と「冷静」が同居した好演との評価である。とにかく音がいい。クリアで鮮明、それでいて一部音が割れているほど、爆裂している。
ただ、音がクリアであるからいい演奏か?と言われれば必ずしもそうではない。賛否は分かれるが、コンドラシン+モスクワフィルの「正真正銘」共産主義的真っ赤っかな演奏が史上最高との呼び声も高い。
この曲が如何に狂っているか?をここで滔々と述べることは一種の「ナンセンス」であるように思える。一見は百聞にしかず…ではなく「一聞は百見にしかず」である。なかなか入手が困難な一枚ではあるが、是非入手して聴いていただきたい。この曲に限ってはクラシックだのジャズだのロックだの、そういう次元を超越している。人類の宝…と言ったら言い過ぎかな?
夜中1人でドライブしてて、この曲を爆音で聴く…。脳ミソがF●●Kされるような感覚。一度お試しあれ。
以上。
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