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2011年2月15日火曜日

理系人間のための英語勉強の基礎 第11回

我々は、一人の英雄を失った。これは敗北を意味するのか?否!始まりなのだ!

地球連邦に比べ我がジオンの国力は30分の1以下である。にも関わらず今日まで戦い抜いてこられたのは何故か!諸君!我がジオンの戦争目的が正しいからだ!

一握りのエリートが宇宙にまで膨れ上がった地球連邦を支配して50余年、宇宙に住む我々が自由を要求して、何度連邦に踏みにじられたかを思い起こすがいい。ジオン公国の掲げる、人類一人一人の自由のための戦いを、神が見捨てる訳は無い。

私の弟、諸君らが愛してくれたガルマ・ザビは死んだ、何故だ!?

戦いはやや落着いた。諸君らはこの戦争を対岸の火と見過ごしているのではないのか?しかし、それは重大な過ちである。地球連邦は聖なる唯一の地球を汚して生き残ろうとしている。我々はその愚かしさを地球連邦のエリート共に教えねばならんのだ。

ガルマは、諸君らの甘い考えを目覚めさせるために、死んだ!戦いはこれからである。

我々の軍備はますます復興しつつある。地球連邦軍とてこのままではあるまい。

諸君の父も兄も、連邦の無思慮な抵抗の前に死んでいったのだ。この悲しみも怒りも忘れてはならない!それをガルマは死を以って我々に示してくれたのだ!我々は今、この怒りを結集し、連邦軍に叩きつけて初めて真の勝利を得ることが出来る。この勝利こそ、戦死者全てへの最大の慰めとなる。

国民よ立て!悲しみを怒りに変えて、立てよ国民!

ジオンは諸君等の力を欲しているのだ。

ジーク・ジオン!!


…この文章に覚えのあるお方は「通」なお方であろうが、かの初代「ガンダム」においてのジオン軍の演説である。といっても、私がガンダムに特別思い入れがあるわけでなく、ガンダムにお詳しい高校生の英語教材として英訳せよ、との指令を出した文章である。

このような英文は、大きく分けて3つの注意すべき点がある。

1:メインとなるべき主語をはっきりさせること
ここでいう「主語」とは、いくつかの単語が組み合わされた「句」や「節」ではなく、本当に大元の「単語」である。この主語に付属するべきパーツを組み合わせて、大きな「主句」や「主節」を作っていくのである。

2:書かれていない代名詞や時制を適切に考慮すること
日本語というモノは非常に曖昧な言語である。というのも、特定の単語が文章に存在しなくとも、意味が通じてしまうことが多々あるためである。また、時制にも大きな制限がない。日本語を英語に翻訳するとき、最も困難な作業が「失われた代名詞の復元」「時制の再構築」である。文意から必要な代名詞、時制を付け直しながら翻訳しなければならないのである。

3:日本語の音にだまされないこと
上記「2」とも重複するが、日本語という言葉は「表意文字」である。すなわち、意味を持っているのは「文字」であり、同じ発音でも多くの意味を持つ。それを端的に表しているのが、象形文字から進化した「漢字」という記号である。一方、英語は「表音文字」と言われ、文字そのものが意味を持っているのではなく、その文字の組み合わせによって意味のある「単語」を構成している。結果として、日本語としては同じ発音になるにしても、意味の全く異なる単語が無数にある。日本語から英語に翻訳するには、必然的に英語力だけでなく日本語力も大きく問われることとなる。

次回以降、数回に分けて上の演説を英訳してみようと思う。

以上。

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