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2010年12月6日月曜日

ハッキントッシュ

「ハッキントッシュ」という言葉がある。英語で綴ると“Hackintosh”。
これは「ハック(“不正に侵入する”)」と「マッキントッシュ」から成る造語なのだが…。


その昔、アップル社のコンピューターは「68k」と呼ばれるプロセッサを使っていた。今やケータイ電話のメーカーとして知られているモトローラ社の製品である。68kは、主にPC-98系やIBM/PC互換機(懐かしい…)に採用されたインテルの「x86」系と双璧を成し、2大勢力としてIBM/PCとアップルのそれぞれに搭載されていった。

やがて、アップル社は68kから同じくモトローラのPowerPCへとプロセッサをチェンジ。搭載された製品には「Power Macintosh」の名が奢られた。プロセッサもG3→G4→G5と変遷し、Power Macintoshの名もPowerMacへと変わっていった。

しかし、G5を搭載した製品が世に出てまもなく、アップルからトンデモナイ発表がなされたのだった。その内容は「以降のアップル社の新製品には、インテル製のプロセッサを搭載する」という、今までのアップル愛好家にしてみれば衝撃的な内容であった。「ああ、アップルも遂にインテルに魂を売ったか」そんな嘆き節が聞かれたとか聞かれないとか。

ここには、当時のIBMの事情が絡んでいるという話もある。実はPowerPCというプロセッサ、IBMがモトローラと組んで開発した製品である。現在アメリカにあったIBMという会社は、民間用PC事業から一切の手を引き、PC事業は全て「レノボ(=聯想)」という中国の会社に売却してしまった。

この流れを察してか、アップルはIBMの手が入ったPowerPCを捨て、カリフォルニアはシリコンバレーの「純国産(アメリカから見ればね)」プロセッサ=インテルを搭載する道を選択したわけである。

前述の通り、コンサバティブなマックユーザー通称「マカー」は、この一連の流れに反発したわけだが、インテルの搭載によって、思わぬ(というか予想通りというか)副次的資産を手にすることとなったのである。

それは「インテルプロセッサ搭載=もしかしてWindowsも動くんじゃね?」という、誰もが考えた、極めて単純でバカバカしい図式である。そもそもアップルが最大のライバルであるMicrosoft社のOSを自社のコンピュータで動かすことを良しとするのであろうか?

アップルからの回答は、極めて単純なものであった。「BootCamp」という技術(技術というよりはソフトウェア群)を用いて、自社製品でのWindowsの動作をあっさりと認めてしまったのだった。ただし、動作を完全に保証するものではなく、サポートは一切しない、という制約付きではあるが。

この出来事によって、アップルのコンピュータは、Windowsの資産をも受け継ぐことに成功したわけである。

こんな事があれば、世の中のギークたちはさらに悪ノリを始める。それは「今のMacOSってインテルで動いてるんだったら、他のインテル製品(≠アップル)でもMacOSって動くんでねぇか?」という、これまた単純な思いつきであった。

世の中には、ホントに物好きな人がいるものである。そして、この単純でバカバカしい思いつきを、見事に達成してしまったのである。いつしか世の中の「お馬鹿さん」たちは、この「非純正マック」を「ハッキントッシュ」と呼ぶようになったのである。

私個人は、もともとれっきとしたアップル使いなワケで、自前のMacBookも持っているから、改めて汎用機でMacOSを動かす必要なんか全くないのではあるが…こーいうバカバカしい思いつきは大好きだし、技術的にちょっと興味深いってぇのもあって、いろいろ調べてみた。

「ハッキントッシュを作る前に互換性チャートを確認せよ」 the Blog Herald
「ハッキントッシュに最適なネットブックはどれ?」ギズモードジャパン

いろいろ制約が多いみたいで、メーカーによって状況は様々。こりゃめんどくさい。一部のメーカーのPCではよく動くとか、Dellはどうだとか、その怪しげな情報は諸説紛々。まあ、フシギナ人たちもいるものだ。

結局、アップルのOSは「アップル社のコンピュータでしか使ってはいけない」という制約(というかライセンス契約)があるので、これら「ハッキントッシュ」は全て「ライセンス違反」という一言でカタがつく。つまり、全て違法だということだ。

まあ、違法だからこそ、そこに危険な魅力を感じる人もいるのであろうが…でも、アップル以外のPCでMacOS使って…満足なのかな?その人たち。まともに動く保証もないのに。よく分からん。「動いた!」で満足なんだろうね、きっと。

以上。

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