最近、テレビのCMで「ハイボール」という言葉を耳にする。ウィスキーを炭酸で割った飲み物で、その手軽で軽い飲み方から、若者に人気とのことらしい。
世間一般で見れば、私もまだまだ若造ではあるが…ちょっと前までは、ウィスキーの炭酸割りは「ウィスキーソーダ」と言われていた。そして、その「ウィスキーソーダ」の時代において「懐かしい」といわれていた呼称が「ハイボール」であった。言ってみれば、時代が一周回ってきて、元の名前に戻った、ということであろう。
ウィスキーの世界は果てしなく広い。発祥はスコットランドであるが、そもそも「麦を発酵させてアルコールにする」という醸造技術は古代エジプト時代には確立されていたらしい。その「醸造した麦汁」を蒸溜することによりウィスキーが生まれた。ただ、誕生したばかりの当時のウィスキーは今日のような琥珀色ではなく、無色透明の液体であった。しかしながら、そのようなお酒にかけられていた重い税金を逃れるために、ある業者が樽に詰めて山奥に隠した。そしてほとぼりが冷めてから様子を見に行ったところ、何とも言えない芳醇な香りを発する琥珀色の液体が…!今から500年以上前の話である。
現在、ウィスキーと呼ばれるものは、生産国によって大きく分けて4種類に分類されている。スコットランドで生産されたスコッチウィスキー、アメリカはケンタッキー州で生産されたバーボンウィスキー、アイルランドで生まれたアイリッシュウィスキー、そして我が国日本で生産されるジャパニーズウィスキーの4つである。
それぞれお国柄…というか個性を持っているのであるが、大まかな特徴として、スコッチはピート(泥炭)の香りを強く含む強い個性、アイリッシュはスコッチの流れを受け継ぎつつも、ピートの香りを抑えたすっきりとした飲み口、バーボンは麦の他にトウモロコシを使ったやや甘めの香り、ジャパニーズはスコッチを基調にしながら日本人の好みに合わせた仕上がり…といったところか。
そのような多種多様なウィスキーの中でハイボールに合うとされるウィスキーは、諸説紛々、賛否両論あれども、私個人的にはジャパニーズウィスキーであると思う。そもそもハイボールという飲み物は、日本においてはビールと同じような食前酒という扱いであろう。そのような日本での扱いにおいて、個性の強いスコッチは合わないと考えるのが妥当であるように感じる。であるならば、日本人の好みにあったジャパニーズウィスキーをソーダで割ったハイボールは、日本の食卓の食前酒としてはうってつけであると思う。
ただ、世界中には数え切れないほどのウィスキーが存在するわけであるから、一概にそうとも言い切れないであろう。深く考えず「コレは合う」「コレはあんまり好きじゃない」と、自分で少しずつ確かめていくのが正しいのだろう。
ちなみに「ハイボール」の言葉の由来。ハイボールは「チムニー(=煙突)グラス」と言われる細く長いグラスを用いるのが一般的であるが、注いだソーダが丸い泡(ボール)となって高く(ハイ)昇っていく様子を表したもの、と言われている。
ビールばかり飲まれるお方、たまにはウィスキーなんぞ買ってみて、自宅で手軽にハイボール!なんていかがだろう?BGMはジャズかクラシック。今夜は自宅がオシャレなバーに大変身!ってことは無いか。
以上。
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