先日「仮定法」を教えていて、生徒に聞かれたこと。
・If he is free today, I'll go with him.
・If he were free today, I'd go with him.
この2つの文章の違いは何なのか?
単純に日本語に訳してしまうと、
・もし彼が今日暇なら、彼と一緒に行こうと思う。
・もし彼が今日暇なら、一緒に行けるのになぁ。
になる。
この2つに大した違いがないように見えるんだけども…?
というような質問だった。
個人的に「仮定法」はあんまり好きではない。
覚えるべき慣用表現が多すぎて、生徒がそれらを全て…とは言わないが、ある程度は覚えてないと教えづらいし、時制についてほぼ完全に理解してないと話にならない。何より「仮定」という概念を理解するのが大変である。
今回話題に挙げた2つの文章は、その仮定法の根幹を成す「概念」の話である。
仮定法とは、一言で言ってしまえば「パラレルワールド」を話題にする表現のことである。
パラレルワールドとは、たった今自分が存在している世界とは別の世界のこと。つまり、時間上のある点を分岐点として枝分かれした世界のうち、一つの世界が今自分がいる世界だとしたら、もう一つの世界がパラレルワールドである。その分岐のポイントは「何か行動をするか、しないか」ということである。
パラレルワールドの概念。
時間上のある点を分岐点として、2つの世界が枝分かれする。
上記の例文の場合「もし彼が今日暇なら」が、そのポイントにあたる。しかし、
もし彼が今日暇なら、彼と一緒に行こうと思う。
の場合、まだこの話を挙げた時点では「彼が暇かどうか」は定かではない。彼が暇であること、もしくはそうでないことは、彼自身の中では確定しているかも知れないが、話者は知り得ないため、未だ確定していないと言える。ここが重要である。何か…「シュレーディンガーの猫」の話と似ているなぁ。
確定していない事柄であるため、話者は「暇なら彼と一緒に行く」という「意志」を表示しているのである。つまりコレは仮定ではなく「推測(if)と意思表示(will)」である。
一方、
もし彼が今日暇なら、一緒に行けるのになぁ。
では、もう「彼が暇でないこと」が確定しているのである。ここが重要なポイントである。彼が暇でないことを話者が理解しているので、彼が暇だったと「仮定」したもう一つの世界…パラレルワールドでは「行けるのになぁ」と、浮き世で嘆いているのである。従って、この場合は「仮定(if〜were)と嘆き(would)」である。
パラレルワールドを題材にした映画に「Back To The Future」がある。全3部作で、過去・未来・そして現在が複雑に入り組んだSFアクション映画であるが、コレを見るとパラレルワールドと浮き世の分岐点に関する概念がよく分かる。
Back To The Future 三部作。
実は1作目で終わりになる予定だったとか。
なので、その生徒にはこの映画を見せることにした。
タイムマシンの発明者である「ドク」が説明する、タイムパラドックスの概念。
タイムマシンによって、過去のある出来事が作為的に変えられた場合、
その後の未来も変わってくる、という説明。
この映画では、この概念が大きな鍵となってくる。
ああ、決めたんだ。
後悔はしないだろう。
以上。
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