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2010年7月4日日曜日

理系人間のための英語勉強の基礎 番外編2


先日「仮定法」を教えていて、生徒に聞かれたこと。

If he is free today, I'll go with him.
If he were free today, I'd go with him.

この2つの文章の違いは何なのか?

単純に日本語に訳してしまうと、

もし彼が今日暇なら、彼と一緒に行こうと思う。
もし彼が今日暇なら、一緒に行けるのになぁ。

になる。
この2つに大した違いがないように見えるんだけども…?
というような質問だった。

個人的に「仮定法」はあんまり好きではない。
覚えるべき慣用表現が多すぎて、生徒がそれらを全て…とは言わないが、ある程度は覚えてないと教えづらいし、時制についてほぼ完全に理解してないと話にならない。何より「仮定」という概念を理解するのが大変である。

今回話題に挙げた2つの文章は、その仮定法の根幹を成す「概念」の話である。

仮定法とは、一言で言ってしまえば「パラレルワールド」を話題にする表現のことである。

パラレルワールドとは、たった今自分が存在している世界とは別の世界のこと。つまり、時間上のある点を分岐点として枝分かれした世界のうち、一つの世界が今自分がいる世界だとしたら、もう一つの世界がパラレルワールドである。その分岐のポイントは「何か行動をするか、しないか」ということである。

パラレルワールドの概念。
時間上のある点を分岐点として、2つの世界が枝分かれする。

上記の例文の場合「もし彼が今日暇なら」が、そのポイントにあたる。しかし、

もし彼が今日暇なら、彼と一緒に行こうと思う。

の場合、まだこの話を挙げた時点では「彼が暇かどうか」は定かではない。彼が暇であること、もしくはそうでないことは、彼自身の中では確定しているかも知れないが、話者は知り得ないため、未だ確定していないと言える。ここが重要である。何か…「シュレーディンガーの猫」の話と似ているなぁ。

確定していない事柄であるため、話者は「暇なら彼と一緒に行く」という「意志」を表示しているのである。つまりコレは仮定ではなく「推測(if)と意思表示(will)」である。

一方、

もし彼が今日暇なら、一緒に行けるのになぁ。

では、もう「彼が暇でないこと」が確定しているのである。ここが重要なポイントである。彼が暇でないことを話者が理解しているので、彼が暇だったと「仮定」したもう一つの世界…パラレルワールドでは「行けるのになぁ」と、浮き世で嘆いているのである。従って、この場合は「仮定(if〜were)と嘆き(would)」である。

パラレルワールドを題材にした映画に「Back To The Future」がある。全3部作で、過去・未来・そして現在が複雑に入り組んだSFアクション映画であるが、コレを見るとパラレルワールドと浮き世の分岐点に関する概念がよく分かる。

Back To The Future 三部作。
実は1作目で終わりになる予定だったとか。
詳しくは「Wikipedia」で。

なので、その生徒にはこの映画を見せることにした。

タイムマシンの発明者である「ドク」が説明する、タイムパラドックスの概念。
タイムマシンによって、過去のある出来事が作為的に変えられた場合、
その後の未来も変わってくる、という説明。
この映画では、この概念が大きな鍵となってくる。

ああ、決めたんだ。
後悔はしないだろう。

以上。

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